用語集
あ / か / さ / た / な / は / ま / や / ら / アルファベット・略語
【あ行】
アウトカム(Outcome)
目標とする治療結果のごと。例えば高血圧治療の場合、血圧を下げることではなく、血圧を下げることにより、腎不全、脳梗塞や心不全等を防ぐこと。遺伝カウンセリング
遺伝医学に関する知識及びカウンセリングの技法を用いて、対話と情報提供を繰り返しながら、遺伝性疾患をめぐり生じ得る医学的又は心理的諸問題の解消又は緩和を目指し、支援し、又は援助することをいうインフォームアセント(IA:Informed Accent)
法的規制にとらわれない説明と同意。小児等を対象とした治験においては、親など代諾者のICを得ると共に実際の被験者である小児からも可能な限り説明と同意を得ることが求められる。インフォームドコンセント(IC:Informed Consent)
説明と同意、理解と納得。治験責任医師等による適切な説明と説明文書の交付ののち、被験者がこれ を理解し、自由な意思によって治験への参加に同意すること。 GCP上インフォームドコンセントは、被験者もしくは代諾者による記名捺印又は署名と日付が記入された文書(同意文書)により証明される。疫学研究
明確に特定された人間集団の中で出現する健康に関する様々な事象の頻度及び分布並びにそれらに影響を与える要因を明らかにする科学研究をいう。 < 疫学研究の定義に関する細則> 疫学研究指針の対象となる研究の最低限の要件を、以下のとおりとする。- 有効性や予後等の知見が未知であるか、又は既知の知見の検証
- 対象者本人のみが受益を受けるよりも、広く社会に貢献することに比重を置く
【か行】
介入
予防、診断、治療、看護ケア及びリハビリテーション等について、次の行為を行うことをいう。 ① 通常の診療を超えた医療行為であって、研究目的で実施するもの ② 通常の診療と同等の医療行為であっても、被験者の集団を原則として2群以上のグループに分け、それぞれに異なる治療方法、診断方法、予防方法その他の健康に影響を与えると考えられる要因に関する作為又は無作為の割付けを行ってその効果等をグループ間で比較するもの介入研究
疫学研究のうち、研究者等が研究対象者の集団を原則として2群以上のグループに分け、それぞれに異なる治療方法、予防方法その他の健康に影響を与えると考えられる要因に関する作為又は無作為の割付けを行って、結果を比較する手法によるものをいう。開発業務受託機関(CRO:Contrat Research Organization)
治験依頼者の依頼を受け、治験実施医療機関に対するモニタリングや監査を代行する機関監査(QA:Quality Assurrance)
治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規程する基準ならぴにGCP基準に従って実施され、データが記録、解釈され、正確に報告されているか否かを確定するため、治験依頼者によって指名された監査担当者が治験に関わる業務及び文書を体系的かつ独立に検証すること。既存試料等
次のいずれかに該当する試料等をいう。 ① 臨床研究計画書の作成時までに既に存在する試料等 ② 臨床研究計画書の作成時以降に収集した試料等であって、収集の時点においては当該臨床研究に用いることを目的としていなかったもの原資料
新薬の承認申請資料の基となる文書、データ及び記録(例えば、病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、治験に関する薬剤部門、検査室、医療技術部門に保存されている記録など。一般診療の保存期間の他に治験実施計画書に定められた期間の保管が求められる(通常、新薬承認時又は開発中止時まで)。原資料の直接閲覧(SDV:Source Document Ver if icat i on)
治験を評価する上で重要な記録や報告を、医療機関が保存する原資料と照合・確認すること。個人情報管理者
試料等の提供が行われる機関を含め、個人情報を取り扱う研究を行う機関において、当該機関の長の指示を受け提供者等の個人情報がその機関の外部に漏えいしないよう個人情報を管理し、かつ、匿名化する責任者をいう。【さ行】
主要評価項目(primery end-point)
臨床試験において被験薬の成績を評価するために主眼とする判断項目。症例登録
試験責任/分担医師が、候補となる被験者の適格性判断に必要な情報を電話やFAX、及びWEBを利用して登録センターに連絡し、登録センターが適格性を確認して当該臨床試験の被験者として登録する業務。症例報告書(CRF:Case Report Form)
各被験者に関して、治験依頼者に報告する事が治験実施計画書において規定されている全ての情報を記録するための印刷された又は電子的な記録様式及びこれらに記録されたもの。治験責任医師(治験分担医師)が作成し、治験依頼者へ提出される。試料等
臨床研究に用いようとする血液、組織、細胞、体液、排泄物及びこれらから抽出したDNA等の人の体の一部並びに被験者の診療情報(死者に係るものを含む。)をいう。ただし、学術的な価値が定まり、研究実績として十分認められ、研究用に広く一般に利用され、かつ、一般に入手可能な組織、細胞、体液及び排泄物並びにこれらから抽出したDNA等は、含まれない。なお、診療情報とは、診断及び治療を通じて得られた疾病名、投薬名、検査結果等の情報をいう。新GCP(Good Clinical Practice)
医薬品の臨床試験の実施に関する基準(平成10年4月より施行)。被験者の保護及び治験データの信頼性を2大柱とした、臨床試験の実施のためのさまざまな法的規制。診療情報
診断及び治療を通じて得られた疾病名、投薬名、検査結果等の情報をいう。ジェネリック
後発医薬品(後発品)のことで、医療機関で処方される薬のうち、先発医薬品の特許が切れた後、臨床試験などを省略して認可され、他の製薬メーカーから発売される、有効成分・品質・効き目が同じで、より安価の薬。重篤な事象
死に至るもの、治療のために入院又は入院期間の延長が必要なもの、永続的又は重大な障害につながるおそれのあるもの、機能不全に陥るものなど。スクリーニング
「ふるいわけ」という意味で、治験では臨床試験への参加に適しているかを判断するという意味。スタートアップミーティング(Start-up Meeting)
治験依頼者により、治験薬搬入時に行うミーティング。治験の適正かつ円滑な実施のために医療機関における実務担当者を集めて開催される会議。製造販売後調査(PMS)
薬発売後に医薬品製造業者が行う調査で、日常診療下での医薬品の有効性、安全性の確認とともに、市販前(治験)では得られなかった医薬品の適正使用についての情報の収集、提供を目的として行われる、製造販売後の安全性監視のための調査。【た行】
立会人
治験の実施から独立し、治験に関与する者から不当に影響を受けない者で、被験者又はその代諾者が同意文書及びその他の説明文書を読むことができない場合にインフォームドコンセントの過程に立ち会う者。第1相試験(Phase l study)
健常人を対象に行われる安全性・有効性、あるいは薬物体内動態の検討を目的とした試験。抗悪性腫瘍剤の治験では、患者を対象として行われる。第II相試験(Phase n study)
患者を対象とした安全性・有効性の探索的な検討を目的とした試験。用量反応性(用量設定)試験など。第Ⅲ相試験(PhaseⅢstudy)
患者を対象とした安全性・有効性の検証試験。前相までに得られた有効性・安全性をより多くの被験者で検証を行う試験。プラセボや類薬を対照とした二重盲検比較試験など。第IV相試験(PhaseⅣstudy)
製造販売後臨床試験。当局からの指示などにより製造販売後において実施される臨床試験。 GPSPを遵守する必要がある。代諾者
治験の参加について、被験者に十分な同意の能力が無い場合に、被験者と共に又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者。被験者の配偶者、親権者、後見人その他これらに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て被験者の最善の利益を図りうる者でなければならない。治験
新薬(新効能・効果を含む)の承認申請のために行われる臨床試験。治験コーディネーター(CRC : Clinical Research Coodinater)
治験実施医療機関において、被験者や治験責任医師(治験分担医師)をサポートすることにより、治験の円滑な実施に従事する者。看護師(リサーチナース)、薬剤師など。治験審査委員会(IRB : Institutional Review Board)
医学・薬学等の専門家及びそれ以外の者によって構成される医療機関の長、治験責任医師及び治験依頼者から独立した委員会。当委員会の責務は、特に、治験実施計画書並びに被験者から文書によるインフォームドコンセントを得るのに使用される方法及び資料などを審査し、また継続審査を行うことによって、被験者に人権、安全性及び福祉の保護を確保することである。治験実施計画書(プロトコール)
治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書。統一された解釈をするための各条件をプロトコールで明確に規定しておく必要があり、この条件が医薬品の承認後の用法・容量・効能・効果などに反映されることになる。治験に参加する医師及び関連スタッフは、上記を十分に認識したうえで、プロトコールを遵守しなければならず、また、被験者に対しても治験の意味を十分に説明し、プロトコールの遵守の重要性を理解させることが必要である。治験責任医師
医療機関において治験の実施に関して責任を有する医師。医療機関において治験が複数の者からなるチームにより実施される場合には、治験責任医師は当該チームの責任者、リーダーである。治験責任医師の要件(省令GCP第42条)- 治験を適正に行うことができる十分な教育及び訓練を受け。かつ十分な臨床経験を有すること。
- 治験実施計画、治験薬概要書及び所要の治験薬の適切な使用方法に精通していること。
- 治験を行うのに必要な時間的余裕を有すること。
治験分担医師
医療機関において治験を実施するチームに参加する個々の医師で、治験責任医師によって指導・監督され、治験に関わる重要な業務又は決定を行う者。治験薬
治験において被験者もしくは対照薬として用いられる有効成分を含む製剤(承認の有無を問わない) 又はプラセボ。治験薬概要書
治験の実施に必要な治験薬に関する臨床試験及び非臨床試験の成績を編集したもの中止・脱落
治験実施計画書が要求する最終観察以前に、何らかの理由で臨床試験が完了できないこと。 中止・・・副作用、併発症、治癒など治験担当医師の医学的判断によるもの 脱落・・・被験者の都合、思い込み、同意撤回など被験者の事情によるものデータマネジメント(DM)
治験及び臨床試験で回収された症例報告書(CRF)のデータを入力し、チェック、修正し、データに問題があれば、モニターに調べなおさせるといった、症例データを管理する業務のこと。匿名化
個人情報から個人を識別することができる情報の全部又は一部を取り除き、代わりにその人と関わりのない符号又は番号を付すことをいう。試料等に付随する情報のうち、ある情報だけでは特定の人を識別できない情報であっても、各種の名簿等の他で入手できる情報と組み合わせることにより、その人を識別できる場合には、組合せに必要な情報の全部又は一部を取り除いて、その人が識別できないようにすることをいう。連結可能匿名化
必要な場合に個人を識別できるように、その人と新たに付された符号又は番号の対応表を残す方法による匿名化をいう。 <細則> いわゆるコード化において、特定の人と新たに付された符号又は番号の対応表を残す方法によるものは、連結可能匿名化に当たる。連結不可能匿名化
個人を識別できないように、その人と新たに付された符号又は番号の対応表を残さない方法による匿名化をいう。 <細則> いわゆる無名化において、特定の人と新たに付された符号又は番号の対応表を残さない同意説明文書
被験者候補の患者又はその代諾者に、インフォームドコンセントを得る過程において用いられる治験の目的、内容などを記した文書一式。治験に先立ち、治験責任医師等が作成する。独立データモニタリング委員会(IDMC)
臨床試験の進行状況、安全性データ及び重要な有効性評価項目を何回かにわたって評価するとともに、治験依頼者に試験の継続、修正、又は中止を勧告するために、治験依頼者が必要に応じて設立する委員会。【な行】
二重盲験試験(DBT : Duble-Blind Trial)
被験者及び治験責任医師(治験分担医師)が共に被験薬と対照薬の判別ができないようなデザインを取り入れた試験方法。試験結果や成績のバイアスを排除し、データの信頼性を確保するために用いられる。【は行】
賠償
治験依頼者又は医療機関の過失に基づいて発生した被験者の健康上の被害に対する償い。被験者
治験に参加し、治験薬の投与を受ける対象となる個人。被験者識別コード
個々の被験者の個人情報を保護するために、治験に組み入られた全ての被験者を特定できるように割り付けた識別符号被験者負担軽減費
治験のために来院する被験者の交通費等の負担を軽減する目的で施設より支給される金銭。被験薬
治験の対象である開発中の薬剤。必須文書
治験の実施状況及び得られたデータの質を個々にまとめて評価する文書などの記録。ヒトゲノム・遺伝子解析研究
提供者の個体を形成する細胞に共通して存在し、その子孫に受け継がれ得るヒトゲノム及び遺伝子の構造又は機能を、試料等を用いて明らかにしようとする研究をいう。本研究に用いる試料等の提供のみが行われる場合も含まれる。 薬事法(昭和35年法律第145号)に基づき実施される医薬品の臨床試験及び市販後調査、又 は医療機器の製造、輸入承認申請のために実施される臨床試験及び市販後調査については、同法に基づき、既に医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)及び医薬品の市販後調査の基準に関する省令(平成9年厚生省令第10号)により規制されており、本指針の対象としない。ヒヤリング
IRB審議前に行う治験依頼者と治験事務局との意見交換会。非臨床試験
動物を用いて安全性、有効性等を検討するための試験。前臨床試験ともいう。標準業務手順書(SOP:Standard Operating Procedures)
業務手順を規定した文書。質の高い情報を得るため、標準的な業務手順については事前に詳細に規定しておくことが求められる。副次(的)評価項目
主要評価項目に次いで試験の成績を評価するための判断項目。主要評価項目における成績を補完するために用いられる。副作用(AR : Adverce・ Reaction、SE:Side Effect)
治験との因果関係が否定できない有害事象。プラセボ
偽薬。薬効を有する成分を含まず、色・形を被験薬と似せた製剤を云い、被験薬の有効性や安全性などのデータを比較するために用いられる。有効成分は含まないが「薬を飲んだ」という意識から治療効果がでることもあり、これをプラセボ効果という。プラセボを用いた比較試験の場合、プラセボを投与される患者は有効な治療を等しく受ける機会を奪われるといった非倫理性が批判されるが、根拠の明らかな、より科学的なデータを集めるという実質的な必要性もあり、現実には実施されることが多い。補償
新GCPでいう補償は、治験との因果関係が否定できなければ、治験依頼者側に過失がない場合でも被験者の受けた被害を担保するという考え方であり、無過失責任である。【ま行】
モニター
モニタリングを行うために治験依頼者が指名した者。治験実施計画書に記載される。モニタリング(QC:Quality Control)
治験の進行状況を調査し、GCP基準及び治験実施計画書、標準業務手順に従って実施、記録及び報告されていることを保証する活動である。モニターは治験の進行状況の確認だけでなく、診療記録を含めた全ての原資料を直接閲覧(S D V : Source Documento Verification)する。これを受け入れることが治験実施医療機関及び治験責任医師、分担医師の義務である。直接閲覧を行ういかなる者(例えば規制当局並びに治験依頼者のモニター及び監査担当者)も、被験者の身元及び治験依頼者に帰属する情報に関する秘密の保全を図るため、あらゆる妥当な予防措置を講じなければならない。【や行】
薬剤割付
盲検試験等において、キーコードの作成及びキーコードに基づいた治験薬への割付作業、エマージェンシーキーの作成を行うと共に、試験終了までキーコードを保管し、盲験性を維持する。有害事象(AE:Adverce Event)
治験薬を投与された被験者に生じたあらゆる好ましくないあるいは意図しない徴候(臨床検査値の異常を含む)、症状又は病気のことであり、当該治験薬との因果関係の有無は問わない。【ら行】
リクルート
人員募集という意味で、ここでは、被験者を募集する意味である。臨床研究
医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される次に掲げる医学系研究であって、人を対象とするものをいう。 ① 介入を伴う研究であって、医薬品又は医療機器を用いた予防、診断又は治療方法に関するもの ② 介入を伴う研究(①に該当するものを除く。) ③ 介入を伴わず、試料等を用いた研究であって、疫学研究(明確に特定された人間集団の中で出現する健康に関する様々な事象の頻度及び分布並びにそれらに影響を与える要因を明らかにする科学研究をいう。)を含まないもの(以下「観察研究」という。) < 細則>- 「医学系研究」には、医学に関する研究とともに、歯学、薬学、看護学、リハビリテーション学、予防医学、健康科学に関する研究が含まれる。
- 観察研究には以下のものも含む。
通常の診療の範囲内であって、いわゆるランダム化、割付け等を行わない医療行為における記録、結果及び当該医療行為に用いた検体等を利用する研究