臨床研究とは?
病気の予防や治療をもっとよくするために、実際の患者さんにご協力いただいて行う研究のことを「臨床研究」といいます。
たとえば、
・どんな治療がより効果的か?
・この薬はどんな人に合うのか?
・病気の原因は何か?
・どうすれば再発を防げるか?
といったことを、実際の医療の現場で調べていきます。
中には、何年もかけて発症する病気や、めったに見られない病気を対象にすることもあります。また、すでに行われている治療の効果や、その後の経過(予後)を観察する研究もあります。
臨床研究は、患者さんのご協力があってこそ成り立ちます。皆さんのご協力によって、未来の医療がよりよいものになっていきます。
治験とはちがうの?
よく似た言葉に「治験(ちけん)」がありますが、臨床研究とは少し目的が異なります。
- 治験は、新しい薬や治療法が「国に認められるため」に行う試験です。薬の安全性や効果を確認し、厚生労働省などの承認を得るための重要なステップです。
- 臨床研究は、すでに使われている治療法の効果を調べたり、病気の原因や予防法を探ったりするなど、より広い目的で行われます。
どちらも医療の発展には欠かせない取り組みですが、臨床研究は「今ある医療をもっとよくする」ための研究である点が特徴です。
臨床研究の流れ
臨床研究は、次のようなステップで進められます。
- 研究の計画
研究者が、何を調べたいのか、どんな方法で行うのかをしっかりと計画します。 - 倫理審査
患者さんの安全や権利を守るため、専門の委員会が研究内容をチェックします。 - 参加者の募集と説明
研究に参加していただく方に、目的や方法、リスクなどをわかりやすく説明します。 - 同意の取得
内容を理解したうえで、参加するかどうかを患者さん自身に決めていただきます。 - 研究の実施
治療や検査、アンケートなどを通じて、必要なデータを集めます。 - 結果の分析と報告
集めたデータを分析し、医療の改善につながる情報として発表します。
患者さんの役割
臨床研究では、患者さんのご協力がとても大切です。具体的には:
- 研究への参加
治療や検査、アンケートなどにご協力いただきます。 - 正確な情報提供
体調や症状、生活習慣などについて、正確にお話しいただくことが重要です。 - 自由な意思での参加
参加はあくまでご本人の意思によるもので、いつでも辞退することができます。 - 質問や不安の相談
わからないことや不安なことがあれば、遠慮なく医療スタッフにご相談ください。
このように、臨床研究は患者さんと医療者が協力して進める、未来の医療づくりのための大切な取り組みです。