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臨床検査科 2021(令和3)年度 活動の紹介

1. 診療体制

 臨床検査科は医師2名、臨床検査技師32名、事務助手2名から構成されています。2021年度も検査の精度向上のため各種外部精度管理調査(日本医師会精度管理調査、日本臨床検査技師会精度管理調査、群馬県臨床検査技師会精度管理調査、日本病理精度保証機構外部精度評価)を受審し良好な成績を得ています。臨床検査技師は検体、細菌、生理、病理など複数の検査部門を習得できるよう業務横断的配置にして個々のキャリア形成に繋げています。
 2021年度も新型コロナ感染症が流行し東京オリンピック2020も無観客で開催されるなど大きな社会的影響を及ぼしています。当院では現在通常のPCR検査、迅速PCR検査、抗原定量検査、抗原定性検査と4種類の検査を導入し日々臨床の要望に応えております。PCR検査は800~1000件/月、抗原定量検査は500~600件/月、抗原定性検査は10~30件/月程度施行しております。
 各部門において検体検査では日々精度の高い検査データを迅速に臨床側へ報告できるよう努めています。また引き続き検体検査結果に対する臨床判断補助のためのコンサルトに応需しています。検査体制として検体管理加算Ⅳも維持されています。生理検査では超音波検査の件数増加に対して業務の見直しや機器・人員のやりくりで要望に応え、特に超音波検査は緊急検査にも可能な限り対応しています。細菌検査では前述したSARS-CoV-2検査の充実を始め、ASTの活動により血液培養等の微生物検査に対する需要も増大し的確な起因菌の検出に効果を発揮しています。さらにICT・AST等職種横断的な院内活動にも積極的に関与し、感染防止対策加算Ⅰ・感染防止対策地域連携加算Ⅰに対応しています。輸血管理室では血液資源の有効利用と医療安全の面から輸血や血漿分画製剤の安全な供給と適正な管理を推進し、輸血廃棄率は0.5%と低く、アルブミン/RBC比は2.0をFFP/RBC比は0.54を下回り、引き続き輸血管理料Ⅰと適正使用加算を維持できています。病理検査では、がんゲノム医療の発展と標的治療薬の進歩から、遺伝子変異を検出するコンパニオン診断の需要が増加し、そのための標本処理作業が増えています。
 研修医・看護師・若手臨床検査技師・実習生の教育研修や各科臨床研究の補助も必要であり、可能な限り協力しています。また、関連学会・研究会での発表、講演会・研修会への参加を通じての自己研鑽を図ることも必要であり積極的に行なわれています。臨床検査科は今後とも病院の重要なインフラとして、正確で迅速な検査の安全な実施に加え、採算項目の院内検査化(特殊検査の外部委託)、保険適用外検査運用の厳格化、必要経費の削減(材料費の見直し)など経営面にも考慮し、効率よく的確な臨床検査業務を通じて病院の健全な運営に関与していきたいと考えています。

2. 診療実績

1) 外部精度管理
 ①日本医師会精度管理(第55回):99.7点
 ②日本臨床衛生検査技師会臨床検査精度管理調査参加
 ③群馬県臨床検査精度管理調査:群馬県臨床検査値標準化施設認定

2) 2021年度病理解剖件数および内訳


3) 2021年度臨床検査件数および点数

3. 臨床研究のテーマ

1) 臨床科の臨床研究の検査に関する補助・支援を積極的に行ないます。
十分な精度管理を実施し必要な検査データを提供、検体の分離・保存・搬送業務などの支援を行ないます。
2) 日本臨床衛生技師会、国立病院臨床検査技師会関信支部、群馬県臨床検査技師会に関連した臨床研究を行ないます。
群馬県の合同輸血療法委員会、感染対策協議会、検査標準化委員会等の調査研究にも参加します。
3) COVID19蔓延期における感染症指定病院勤務職員のワクチン接種後のSARS-COV-2抗体の保有状況に関する調査研究

4. 研修教育方針

1) 検査技師養成学校からの臨床実習生を受け入れて教育・技術指導を行ないます。
2) 臨床研修医に対する必須技能として超音波検査技術指導および血液型クロスマッチ検査等の手技指導を行ないます。
3) 臨床研修医に対するCPCでの病理所見示説指導を行ないます。
4) 各種学会・研究会・講習会への積極的な参加による研修・研鑽を図ります。
5) 群馬県臨床検査技師会理事、群馬県標準化委員会基幹施設として技師の資質向上を目指します。

5. 今後の展望

1) 臨床各科の要望に対して正確で迅速な検査結果を確実に提供する努力を継続します。
2) 医療制度・病院経営・教育研修機能をふまえた効率的な病院のインフラとしての機能を果たしていきます。
3) 以上の各項目を達成するため、さらに人的資源の確保・検査機器整備の更新を図ります。
4) 将来的なISO15189の認定を意識して標準操作手順などの書類の整備を進めます。

 

病理診断科 2021(令和3)年度 活動の紹介

1. 診療体制

 2002年4月から当院の病理診断の責任者として勤務されていた小川晃医師が2021年3月末で定年となり、2021年4月に群馬大学医学部付属病院から鈴木文医師が異動となりました。2021年度以降も、田中優子医師、宮永朋実医師、鈴木文医師の3人常勤病理医体制を維持する事ができました。小川晃医師は2021年度以降も期間医師として勤務されます。公立藤岡総合病院の吉田孝友医師、亀田メディカルセンター乳腺科・病理の黒住昌史医師の応援をいただいています。
 病理診断科の主な業務は、病理組織診断、細胞診、剖検です。病理組織診断は患者の治療方針の決定に寄与する重要な業務で、各診療科医師が患者の了解を得て病変部から組織を切除し、臨床検査技師が標本を作製、当科の医師が診断します。複数の常勤の病理専門医が検鏡し、診断を行うことが可能な体制を整備しています。細胞診は、各診療科医師が患者の了解を得て病変部から細胞を採取し、臨床検査技師・細胞検査士の標本作製・スクリーニングの後、当科の医師が診断する体制となっています。剖検は、各診療科医師がご遺族の承諾を頂き、死因の究明や病気の広がり、治療効果の判定を目的として、主治医等の立ち合いのもと、当科の医師と臨床検査技師で行います。剖検の結果は、全例、病院全体を対象とした臨床病理検討会(clinicopathological conference; CPC)を開催し、今後の医療の発展のために役立てています。
 精度管理では、日本病理精度保証機構の外部精度評価に参加し、基準を満たしていることを認証されています。キャンサーボード、乳腺カンファレンスなどへ参加しています。病理診断管理加算Ⅱの算定要件を満たす診療体制を構築し、日本病理学会認定施設、日本臨床細胞学会認定施設です。

●診療方針
1) 病理診断を可及的速やかに報告して、主治医に伝えることにより、今後の治療を円滑に進められるようにします。
2) 病理診断という専門性の高い分野に特化した診療科の一員として、お役に立てるよう日々努めます。
3) 後世に良質な検体やデータを残すために、情報の入力方式や検体およびデータの管理体制の整備を行います。診療情報管理士と連携し、がん登録およびNCD登録業務への協力を行います。

2. 診療実績

 この数年、病理組織診断は5000件台後半、細胞診は6000件台、剖検は10件前後で推移しています。2021年度は、病理組織診断、細胞診ともに約6000件で、前年比で病理組織診断は約15%増、細胞診は約5%増となっています。剖検は8件と目標とする数を割る結果となっています。

3. 臨床研究のテーマ

1) 多施設共同臨床研究などの治療介入研究への協力
2) 検体の取り扱い方や標本の作製技術の改善に関する研究
3) 希少な脳腫瘍の臨床病理学的、分子遺伝学的解析

4. 研究教育方針

1) 臨床研修医に対し、剖検の執刀、マクロ・ミクロ検討、病理解剖報告書・スライド作成、CPCでの病理所見示説指導を行います。
2) 臨床研修医や医学生の希望者を受け入れ、将来的に進む科の特性にあわせた病理診断業務の研修指導を行います。
3) 各診療科の医師に対し、病理診断の解説を行うことにより、病理診断結果を適切に臨床応用できる医師の養成に努めます。

5.今後の展望

 当科では、最新の知識の習得に励み、新たな診断技術や疾患概念を積極的に導入し、日常の病理診断に反映させていきます。
 がんの遺伝子異常の有無を検索し、その情報に基づいて治療を行う医療が行われています。その中で、病理組織検体を用いて行われるものがあるため、病理部門として検体を適切に取り扱う体制を構築し、正確に遺伝子診断が行われるように努めます。

臨床検査科・病理診断科