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2019(令和元)年度 活動の紹介

1. 診療体制

●診療方針

 手術をより安全、かつ十分に行うための各種術中モニタリング(病変の位置を確認するニューロナビゲーターや、患者さんの神経機能を手術中も確認可能にする術中運動神経モニタリング)など、最先端の技術を駆使し、脳卒中、脳腫瘍などの治療成績の向上に努めています。顕微鏡手術中に脳血流が観察できる術中蛍光診断装置、および神経内視鏡も導入され、より安全性、確実性の高い手術が可能となっています。脳動脈瘤クリッピング術においては術中に脳血管の温存を確認できる術中蛍光診断は有用性が非常に高く、安全性の向上につながっています。
 脳血管内治療については、血管内治療専門医による治療が常時可能となり、脳動脈瘤、脳血管奇形、脳腫瘍などの疾患に対し、開頭手術と脳血管内治療を適切に組み合わせ、より幅広く、安全で有効な治療を提供しています。
 脳卒中に関しては、最近のガイドラインで一過性脳虚血発作の重要性がクローズアップされています。この疾患では症状が一過性で軽微であっても重篤な血管病変を有し、再発を繰り返す危険性が高く、緊急で外科処置が必要となる患者さんも存在します。このような患者さんを適切に診断することにより、再発を予防できる症例が増加しつつあります。また、脳血管内手術により超急性期に血栓回収術、ステント留置術などの治療も可能となっており、その治療症例数も増加しています。
 特発性正常圧水頭症に対しては、より侵襲の少ないLPシャントを数多く手がけ、良好な成績を得ています。最近ではLPシャントは安全性を考慮し、極力、局所麻酔下に行っています。全国的には局所麻酔下にLPシャントを行っている施設は珍しく、局所麻酔下LPシャントについては学会で積極的に報告しています。この疾患の主な症状は、認知症、歩行障害、失禁などですが、他の神経内科疾患の症状と類似しており、これらの疾患を熟知した神経内科医による、正確な手術適応の診断が欠かせません。そこで当院では脳神経外科単科ではなく、神経内科医師と連携を取り、診断、治療、術後評価をより正確に行える体制を整えています。
 今後とも、脳・神経に関する専門的な治療を必要とされる患者さんに対し、最善の医療を的確に提供できる様、地域の医療・福祉機関との連携を深めつつ、万全の体制で診療に臨みたいと考えています。

 

●医療設備

 ・術中ナビゲーションシステム
 ・顕微鏡術中蛍光診断装置
 ・神経内視鏡システム
 ・術中運動神経、知覚神経モニタリングシステム

 

2. 診療実績

 令和元年度の入院患者数は488名。退院患者508名。
 手術件数は251件でした。

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3. 臨床研究のテーマ

●術中モニタリングを駆使した、より安全な手術
●正常圧水頭症の診断と治療
 特にLP-シャント手技の改善、局麻下LPシャント術の普及
●虚血性脳血管障害の治療
●脳血管内手術

 

4. 研修教育方針

 脳神経外科は、脳神経外科専門医4名を含む5名で研修指導に当たります。
 指導医は、脳神経外科専門医、日本脳卒中専門医、がん治療認定医で、脳神経外科の研修では、脳血管障害、頭部外傷などの急性期疾患をはじめ、脳腫瘍、中枢神経系感染症、脊髄疾患、小児先天奇形など幅広い分野の脳神経外科疾患の研修が可能です。当科研修の特徴は、当院が救命センターを有するため、脳血管障害、頭部外傷など豊富な救急疾患が経験できるとともに、循環器、呼吸器、整形外科など、脳神経外科疾患と密接に関連する診療科が充実しており、高度なチーム医療が要求される疾患も研修可能な点です。また症例によっては群馬大学脳神経外科と連携し治療にあたります。専門医教育施設としては、日本脳神経外科認定医研修施設、日本脳卒中学会認定研修教育施設、日本がん治療専門医研修施設に認定されています。

 

5. 今後の展望

 当院は救命センターを有する総合医療センターであるため、脳血管障害、頭部外傷など脳神経外科救急医療をより充実させていくことが重要となります。また神経内科、循環器、呼吸器、整形外科など、脳神経外科疾患と密接に関連する診療科が院内に充実しており、高度なチーム医療を駆使して脳血管障害、頭部外傷、水頭症、などの治療をより一層充実させていきたいと考えています。当院はがん治療支援病院であり、新たに導入された高精度放射線治療装置 Novalis Txなどを駆使して脳腫瘍患者さん、特に転移性脳腫瘍患者さんの治療を積極的に行い、予後の改善のみならず、生活の質も考慮した低侵襲で良質な医療を提供していきたいと考えています。

脳神経外科