トピックス
<1>手術について
手術をより安全かつ確実に行うために、以下のような最先端の技術を駆使し、脳卒中、脳腫瘍などの治療成績の向上に努めております。- ナビゲーション装置: 病変の位置や手術部位を確認する装置です。
- 術中モニタリング装置: 神経回路を電気刺激し、患者さんの神経機能を手術中も確認し、術後神経障害を予防する装置です。
- 術中蛍光診断装置: 顕微鏡手術中に脳血流を観察したり、正常脳組織との鑑別困難な脳腫瘍を識別し、必要な血管や脳組織を温存し、術後神経障害を予防する装置です。
- 神経内視鏡: 小さな隙間から深部を観察可能となり、低侵襲で安全な手術が可能となる装置です。
<2>脳血管内手術について
脳血管内手術はここ10年来発展してきた技術ですが、心臓の血管における治療とともに進歩し続けている分野です。頭部や頚部を切らずに治療できることがメリットで、本邦でも急速に普及し始めています。代表的な治療は、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤に対するコイル塞栓術や、脳梗塞の原因となりアテローム血栓症の一部でもある内頚動脈狭窄症に対する頚動脈ステント留置術です。コイル塞栓術は大腿のつけ根の血管からカテーテルを脳動脈瘤に誘導して、その中をプラチナ製のコイルを巻いて、脳動脈瘤を血管内部から詰めてしまう治療です。脳動脈瘤に対する外科的な方法では、開頭して顕微鏡下に脳動脈瘤を露出しクリップで脳動脈瘤をつぶすクリッピング術があります。内頚動脈狭窄症に対する頚動脈ステント留置術は大腿の付け根の血管からカテーテルを挿入して狭窄部に到達し、ステントを留置して狭窄部を拡げます。狭窄部の脳側にステントを拡張した際に血栓が脳に飛んでいかないようにする傘状のフィルターや風船状のバルーンという器材で血栓を捕捉します。内頚動脈狭窄症に対する標準治療は外科的な治療法である頚動脈内膜剥離術ですが、血管内治療である頚動脈ステント留置術も2008年4月に保険適応となり、個々の患者さんにより適切な治療法を選択することが可能となりました。当院では患者様のニーズに応えられるように、より安全で正確な治療を目指しております。 詳細は 心臓・脳血管カテーテルセンターの項をご参照ください。<3>脳卒中について: 一見軽症でも重篤な病変が隠れていることがあります。
最近の脳卒中ガイドラインで一過性脳虚血発作など軽症脳卒中の重要性がクローズアップされております。この疾患では症状が一過性で消失したり、軽症であっても再発を繰り返し、重篤な後遺障害が残る危険性があり、緊急入院による治療が重要と言われています。更にこのような患者さんの中には症状は軽いものの重篤な血管病変を有し、緊急で外科処置が必要となる患者さんも存在します。このような患者さんを適切に診断することにより、頸動脈内膜剥離術や血管内手術などの治療を行い、再発を予防できる症例が増加しつつあります。 また、このような重篤な血管病変は、全身の動脈硬化の一部であることが多く、心筋梗塞や末梢動脈閉塞症を発症する可能性が高い患者さんともいえます。そのため、循環器科などと協力し、心臓・脳血管カテーテルセンターなどで全身の血管を調べ、全身の総合的な治療を行い、新たな病気の発生予防にも努めています。>>本院での超急性期血栓溶解療法に関して