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トップページ > 診療科 > 心臓血管内科(循環器) > 2021(令和3)年度 活動の紹介

2021(令和3)年度 活動の紹介

1. 診療体制

●診療方針

 心臓血管内科では、①虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)②不整脈 ③心不全(弁膜症・心筋症・先天性心疾患など)④動脈・静脈疾患(大動脈瘤・閉塞性動脈硬化症・静脈血栓症など)を中心として、血圧の疾患(高血圧・低血圧)や睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群)などの疾患も含め幅広く心臓血管疾患の診療を行っています。特に虚血性心疾患、心不全の救急疾患に対しては 24 時間体制で治療を行える体制を整えています。また、各分野において専門性をもった医師を中心として診療に当たっており、EBM(Evidence-based medicine)に基づいた治療を心がけています。
 カテーテル血管内治療(インターベンション)では、虚血性心疾患を対象とした冠動脈インターベンション術(PCI)はもとより、四肢末梢の動脈硬化症、透析シャント狭窄など多岐にわたる血管内治療を行っています。不整脈分野においては、カテーテルアブレーション術など非薬物療法による根治術に加え、植え込み型除細動器(ICD)(経静脈型 , 皮下植込型)、両心室ペーシング機能付き植え込み型除細動器(CRT-D)等のデバイス植え込み術にも力を入れています。
 また、血管造影以外の画像診断にも注力し、心臓超音波検査 (体表・経食道)、心臓CT、心臓 MRI、核医学検査など多方面からのアプローチを用いて、低侵襲検査から的確な診断、治療を行えるように努めています。2022年7月からは、FFR-CTを導入して非侵襲的に心筋虚血の評価を行える体制を整えています。
 近年、心不全の患者数は増加の一途をたどっており、「心不全パンデミック」と称されます。当院では、急性期の治療を中心に行い、多職種(看護師・理学/作業療法士・薬剤師・栄養士・ソーシャルワーカー)で構成される心不全チームで患者の治療・教育に取り組んでいます。安定期には、かかりつけの先生方に治療の継続を依頼し、地域で取り組む心不全診療体制の構築に努めています。2022年6月からは、高血圧や糖尿病等の危険因子を持つ心不全予備軍に対する「心不全予防外来」を設置し、心不全の予防・早期発見にも取り組み始めています。

 

●医療設備

 血管造影装置(冠動脈、末梢血管造影)
 多列検出器型CT(心臓 CT)
 MRI(心臓 MRI)
 心臓超音波(経胸壁・経食道 , いずれも3D 装置あり)
 血管内超音波(IVUS)
 光干渉断層法(OCT)
 核医学検査装置(心臓 RI)
 不整脈検査治療用プログラム刺激装置
 不整脈3D マッピングシステム(CARTO システム)
 エルゴメーター運動負荷検査装置
 連続呼気ガス分析装置(心肺運動負荷検査)
 ホルター心電図検査
 血圧脈波検査(ABI)装置
 皮膚組織灌流圧(SPP)測定機器
 大動脈内バルーンパンピング装置(IABP)
 経皮的心肺補助装置(PCPS)
 一時的体外ペーシング装置付き除細動器

 

2. 診療実績

●症例数・検査数・治療

 ・冠動脈造影検査 666例
 ・冠動脈インターベンション術 401例 (急性心筋梗塞 86例含)
 ・末梢血管インターベンション 72例
 ・電気生理学的試験 / 経皮的カテーテル心筋焼灼術 5/183例
 ・ペースメーカー植え込み術(リードレス含む) 60例
 ・植え込み型除細動器(皮下植え込み型含む) 12例
 ・両室ペーシング機能付き植込み型除細動器 10例
 ・冠血流予備量比 (RFR) 167件
 ・経胸壁心エコー検査 6794例
 ・経食道心エコー検査 247例
 ・心肺運動負荷検査(CPX) 29例
 ・ホルター心電図検査 599例
 ・冠動脈CT検査 1030例
 ・心臓MRI検査 173例
 ・心臓核医学検査 208例
 ・心臓リハビリ患者数 539例

 

3. 臨床研究のテーマ

 ・心不全入院患者の後ろ向き観察研究
 ・心不全手帳を用いた多職種連携
 ・心不全パスの導入とその効果の検討
 ・抗凝固療法を要する冠動脈ステント留置後患者への抗血小板療法
 ・薬剤コーティングバルーンを用いたステントレス冠動脈治療

 

4. 研修教育方針

 心心電図や心エコーなど循環器内科医としての基礎知識から、救急疾患の対応、先進的循環器疾患治療に至るまでを実際の症例を通じて学べるように心がけています。

 

5. 今後の展望

 心臓病の代表疾患には、虚血性心疾患、不整脈、弁膜症、拡張型/肥大型心筋症、高血圧性心臓病等があります。虚血性心疾患に対するカテーテル治療、不整脈疾患のカテーテルアブレーション治療、弁膜症に対する心臓外科手術といった専門治療も当院では積極的に行い、上記のように群馬県でも有数の治療数を誇っています。これらの心臓病は、すべて心不全の基礎疾患となります。心不全パンデミックに対して群馬県心不全地域連携協議会が設立され、群馬県全体で心不全に対する対策が図られています。地域の先生方と連携を強化し、心不全の予防・急性期治療・慢性期治療の各段階で患者さんが安心して治療を受けられる体制作りに取り組んで参ります。

心臓血管内科(循環器)