2021(令和3)年度 活動の紹介
1. 診療体制
●診療方針
2012年4月に消化器病センターが設立され、消化器内科と消化器外科の連携を密にした専門性の高い診療を行っています。
2021年度の消化器内科医師数は、常勤医師10名、非常勤医師5名、内科専攻医2名です。毎週水曜日に開催される消化器病センターのカンファレンス(消化器キャンサーボード)では、手術適応や治療方針について意見交換を行って診療の質向上に努めています。
消化器救急疾患に対しては、夜間休日を問わず24時間オンコール体制で、緊急の検査および処置が可能です。
また、地域の実地医家の先生方との円滑な医療連携を通じて、地域中核病院としての役割を果たすことを目標としています。
教育面では、研修医及び若手消化器内科医の育成に力を入れており、学会発表、論文作成等にも積極的に取り組んでいます。
研究面では、以下に示すような高度な設備及び豊富な症例数を有しており、各種臨床試験や治験に参加して新しい治療法の開発にも取り組んでいます。
●医療設備
・内視鏡室:3室 TV室:2室
・内視鏡システム:OLYMPUS EVIS X1 1台、OLYMPUS EVIS LUCERA ELITE 3台
・上部:GIF-H290Z 1本、GIF-H290T 1本、GIF-H290 1本、GIF-1200N 2本など計13本
・下部:PCF-H290ZI 2本、PCF-PQ260L 1本、CF-H260AZI 1本、CF-H260AI 1本など計12本
・側視鏡:TJF- Q290V 1本、JF-260V 2本、超音波内視鏡:GF-UCT260、超音波内視鏡装置EUME1
・高周波手術装置ERBE社VIO300D 1台、ICC200 1台、アルゴンガス供給装置APC300 1台
・内視鏡用炭酸ガス送気装置UCR 3台、内視鏡用送水ポンプOFP 1台、OFP2 2台
・カプセル内視鏡:Given imaging社Pill CamSB3
・外来診察室:東芝超音波診断システムAplio 300、病棟処置室:東芝超音波診断システムAplio 500
・血管造影室:Phillips XperCT-DSA装置(本館3F)
2. 診療実績
●症例数・検査数・治療
3. 臨床研究のテーマ
≪臨床研究≫
○切除不能肝細胞癌患者に対するアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法の多施設共同前向き観察研究
○免疫チェックポイント阻害薬投与後かつAFP値400ng/mL以上の進行肝細胞がんに対するレンバチニブとラムシルマブのランダム化比較試験
○消化管静脈瘤・難治性腹水データベース作成
○北関東多施設におけるHCV感染患者の現況についての疫学調査
○血小板減少を呈する患者における酵素測定法によるゴーシェ病スクリーニング
○Gd-EOB-DTPA enhanced MRI肝細胞相によるanti PD-1/PD-L1抗体の一次耐性予測に関する多施設共同前向き研究
○症候性嚢胞肝に対する治療,予後についての多施設共同研究
○ソーシャルメディア等を活用した肝炎ウイルス感染者の偏見差別の解消を目指した研究
○70才以上の進行胆道癌患者に対する化学療法と高齢者機能評価に関する前向き観察研究
○免疫チェックポイント阻害薬投与後の進行肝細胞がんに対するソラフェニブとレンバチニブのランダム化比較試験 他5件
≪治験≫
○活動性潰瘍性大腸炎の被験者を対象にLAG3陽性T細胞除去に働くモノクローナル抗体(GSK2831781)の反復投与を行う際の安全性、忍容性、有効性、用量反応性、薬物動態及び薬力学を検討する第Ⅱ相多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験
○従来治療及び生物学的製剤が不良な中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎患者を対象としたmirikizumabの多施設共同無作為化二重盲検並行群間プラセボ対照第Ⅲ相導入試験
○中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎患者を対象としたミリキズマブ及びベドリズマブの第Ⅲb相無作為化二重盲検並行群間プラセボ及び実薬対照Treat-Through試験
○中等度から重度の潰瘍性大腸炎患者を対象とした、BMS-986165安全性及び有効性を検討する、プラセボ対照、ランダム化二重盲検第Ⅱ相試験
○中等症から重症の活動性クローン病患者を対象に寛解導入療法及び維持療法におけるFilgotinibの有効性及び安全性を評価する、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、統合第Ⅲ相試験
○クローン病患者を対象にFilgotinibの安全性を評価する長期継続投与試験
○ONO-4538 第Ⅱ/Ⅲ相試験 切除不能な進行又は再発胃がんに対する多施設共同無作為化試験
○切除不能の局所進行性又は転移性の胃腺癌又は食道胃接合部腺癌の患者を対象とした一次治療としてのtislelizumab(BGB-A317)+白金製剤及びフルオロピリミジンの有効性と安全性をプラセボ+白金製剤及びフルオロピリミジンと比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相臨床試験
○既存治療及び/又は生物学的製剤に対して効果不十分又は不耐容である中等症から重症の活動性クローン病患者を対象としたウパダシチニブ(ABT-494)の有効性及び安全性を評価する多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照導入療法試験
○K-877徐放性製剤の第Ⅲ相長期投与試験 他9件
4. 今後の展望
群馬県西部地域の消化器病の中核病院としての期待に応えるべく、日常診療のみならず、地域と共同の臨床研究も推進させていきます。