1. 診療体制

●診療方針
　がん診療拠点病院として悪性腫瘍に対する手術を中心とした先進的治療を行うとともに、3次救急医療機関として重症腹部救急疾患や多発外傷に対し診療を行っています。
　消化器病センターでは、内科医・外科医・放射線診断/治療医や多職種を交えて症例検討を行い、高度な専門性と安全性の両立した医療を提供しています。

当科の特徴

1. 術後の早期回復を目指し、ガイドラインに準じて、腹腔鏡下手術を積極的に適応し手術侵襲の軽減を図るとともに、術前から栄養療法・リハビリなどを行っています。
2. 当院は総合病院であり、糖尿病や虚血性心疾患、呼吸器疾患などの並存疾患を抱えた患者さんも多く、専門診療科や多職種と協力し、治療準備から治療後まで病状にあわせて患者さんごとに適切な支援を行っています。
3. 各種パンフレットや説明書、クリニカルパスの活用、患者サポートセンターでの面談などを通して、患者さんや家族に十分な情報提供行い、きめ細やかな診療を心がけています。
4. 退院後も安心して療養できるよう、がん診療連携パスを活用し、地域の先生方と連携をとっています。
5. ご希望に合わせ，病気の早期より緩和支援チームが介入し、患者さんの不安や苦痛の軽減に努めています。

●医療設備
　2015年8月　3Dカメラ対応腹腔鏡手術システム
　2016年2月　プロフォーカスウルトラビュー800
　2018年3月　高周波手術装置
　2020年3月　IR(赤外線)観察対応外科手術用内視鏡システム

2. 診療実績

1. 外科の手術件数は、10年で2倍に増加しました。緊急手術も多く、昨年は手術患者さんの25％以上が緊急手術でした。
2. 当院は救急患者さんの多い急性期総合病院であり、有症状の比較的進行したがんの患者さんや、心臓や脳など他臓器の疾患を有する患者さんが多い傾向があります。
3. 患者サポートセンターで手術前から評価、説明を行うことで、患者さんと目標を共有し、また専門チームで疼痛対策や栄養療法、リハビリなどを標準化し、患者さんの回復を援助しています。
4. 当院のクリニカルパスの入院期間は、結腸癌・胃癌手術で9日、直腸癌手術で12日です。

●手術数　2021年度　合計844件（腹腔鏡 459件）

3. 臨床研究のテーマ

治験
・胃がんに対する術後補助化学療法　第Ⅲ相試験

臨床試験
・膵がん切除後の補助化学療法
・ 鼡径ヘルニア術後の慢性疼痛
・膵がん手術中採取洗浄腹水による高感度腫瘍検出

4. 研修教育方針

外科医に対する研修教育方針：
　外科専門医およびそれぞれの専門医（消化器外科など）取得のために必要な手術症例の経験、学会での発表、論文作成を積極的に指導しています。

研修医に対する研修教育方針：

　短期間（1-2か月）での研修の場合は医師として必要な外科手技が習得できるように、3か月以上の研修の場合は、外科手技の習得以外にも様々な外科疾患の理解を深められるよう指導しています。

5. 今後の展望

1. 腹腔鏡下手術をはじめとした低侵襲手術を、適応を十分検討したうえで積極的に推進しており、ロボット手術の導入も準備しています。
2. 手術前から、患者サポートセンターで患者さんの評価を行っています。患者さんの病状に合わせた周術期の栄養療法やリハビリテーションなど、多職種のチームによる支援をさらに充実させていきます。
3. 術後の早期回復を促進するため、入院後も途切れることなく支援できる体制を整えていきます。