2024(令和6)年度 活動の紹介
1. 診療体制
●診療方針 ~目の前の患者さんのために~
当科では、様々な年齢層の様々な脳疾患に幅広く対応しています。脳卒中、頭部外傷、脳腫瘍などの疾患において、乳幼児からお年寄りに至るまで、最適と思われる治療方針を脳神経外科医の中で相談しながら治療を進めています。
1.脳卒中(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)
当院は一次脳卒中センター(PSC:Primary Stroke Center)に指定されており、地域医療の一翼を担っています。救急で受診された重症な患者さんに対し、開頭手術や脳血管内手術(カテーテル手術)を行います。重症脳梗塞の場合、救急科、脳神経内科と連携して血管を閉塞させている血栓を除去する超急性期治療(tPA静注療法、機械的血栓回収療法)を積極的に行っています。軽症~中等症の方は点滴や内服で治療します。また、入院後早期からリハビリテーションを開始し身体機能の回復に努めるとともに、回復期病院などへの転院を通じて退院後の生活レベル向上を目指した取り組みを行っています(脳卒中地域連携パス)。
2.頭部外傷
救命目的で緊急開頭手術を行う場合は時間との闘いです。救命するだけでなく身体機能回復も期待するため早い対応が必要で、ご家族や医療スタッフとの連携が非常に重要です。当院では緊急手術を速やかに行える体制を確立しており、24時間365日対応しています。また、慢性硬膜下血腫の手術対応も常時行っています。
3.脳腫瘍
部位や腫瘍の種類により症状や治療方針は様々です。無症状で見つかった場合の多くは外来で経過観察となります。神経脱落症状(意識障害、言語障害、半身麻痺、感覚障害、高次脳機能障害など)がある場合や進行性に悪化している場合など、手術、化学療法、放射線療法を組み合わせた最適な治療方法について、ご本人やご家族と相談をし、時には他の病院の医師の意見も聞きながら(セカンドオピニオン)方針を決定しています。また、症例に応じて開頭腫瘍摘出術を当院で行い、化学療法や放射線療法などの後療法を他院へ依頼するなど柔軟な対応を心がけています。
4.その他
水頭症、感染性疾患などの疾患群については神経内科医師と連携を取りながら、診断・治療・術後評価をより正確に行える体制を整えています。
脳神経外科は、専門性の高い治療を行うことが多い反面、他の診療科、職種、病院などとの連携が必要不可欠です。病気だけを診るのではなく、どうすれば目の前の「患者さん」を良くすることができるか、それが常に我々に突き付けられた課題だと認識しています。そのためには、我々脳神経外科医が最善を尽くすことだけでなく、ご本人、ご家族、かかりつけ医を含めた医療や福祉のバックアップ体制など、全てを巻き込んだ「チーム」として、最終的に一つの治療が完結すると考えています。
●医療設備
◇ハイブリッド手術室(Siemens社)
2020年3月に稼働した群馬県内初の脳血管内手術を主軸としたシステムで、脳血管内手術と開頭手術を同時または連続して行うことができます
◇術中磁場式 / 光学式ナビゲーションシステム(Medtronic社)、術中エコー
脳腫瘍の手術などで、病変部位の同定や腫瘍摘出の度合いなどを確認するために使います
◇神経内視鏡システム
経鼻下垂体手術や、脳出血に対する血腫除去術などで使います
新たに軟性鏡が加わり、神経内視鏡で対応できる範囲が拡大しました
◇術中運動神経、知覚神経モニタリングシステム
脳の運動野(運動神経中枢)、感覚野(感覚神経中枢)などの機能を術中に評価します
2. 診療実績
◆令和6年度:入院患者数 405名、退院患者数 430名
◆手術件数:179件 (2024年1月~12月)
- 体に負担が少ない治療を行うため、脳血管内手術が主体になってきています
- 詳しい内訳は、病院HP「脳神経外科」内の「診療実績」をご参照ください
3. 臨床研究のテーマ
- 脳血管内手術などより低侵襲で行える治療の強化
- 術中のナビゲーション、モニタリング、エコーなどを駆使した安全性の高い開頭手術
4. 研修教育方針
- 脳神経外科医:4名(脳神経外科専門医3名を含む)
- 専門医:日本脳神経外科学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、日本脳卒中学会専門医
- 脳神経外科の研修では、脳血管障害、頭部外傷などの急性疾患をはじめ、脳腫瘍、中枢神経系感染症、脊髄疾患、小児先天奇形など幅広い分野の脳神経外科疾患の研修が可能です。
- 当院は救命救急センターを有するため、脳血管障害、頭部外傷など豊富な救急疾患が経験できるとともに、救急科、神経内科、心臓血管内科、整形外科など、脳神経外科疾患と密接に関連する診療科が充実しており、高度なチーム医療が要求される疾患も研修可能です。また、症例によっては群馬大学脳神経外科と連携し治療にあたります。
- 専門医教育施設として、日本脳神経外科専門医研修施設、日本がん治療認定医研修施設に認定されています。
5. 今後の展望
- 近年は、より低侵襲の治療が求められるようになってきています。低侵襲の治療と治療の安全性とを両立させることは簡単ではありませんが、症例に応じて脳血管内手術、神経内視鏡手術、局所麻酔下手術など、患者さんやご家族のニーズに寄り添う治療を目指します。
- 当院はがん治療支援病院であり、高精度放射線治療装置 Novalis Txなどを駆使して、原発性および転移性脳腫瘍患者さんの治療を積極的に行い、予後の改善のみならず、生活の質も考慮した低侵襲で良質な医療を提供してまいります。























