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2019(令和元)年度 活動の紹介

1. 診療体制

●診療方針

 内分泌・代謝内科は平成30年4月より専門医常勤となり標榜診療科として認められました。内分泌・代謝疾患はホルモンが関わる病気で身近なところに潜んでいます。高血圧患者のうち約10%は原発性アルドステロン症など内分泌疾患に起因した二次性高血圧とされていますし、人間ドックや健診で甲状腺腫瘍が発見されたり、頭部MRIで下垂体偶発腫瘍が、胸腹部CTでは副腎偶発腫がしばしば見つかります。内分泌疾患においては「ありふれた症候」と「特徴的な症候」が混在しています。発熱、腹痛、意識障害、全身倦怠感がきっかけで受診される患者さんの中に副腎皮質機能低下症や甲状腺機能異常症を認めたり、肥満や高血糖、心不全の原因がクッシング症候群や先端巨大症、甲状腺機能低下症であったりします。内分泌疾患の正しい診断のためには、1回のホルモン基礎値の評価だけでなく、ホルモン刺激あるいは抑制試験、24時間尿中ホルモン測定などが必要となります。当科ではこれらに対応した入院による検査、治療を行っています。甲状腺腫瘍については外来でのエコー下穿刺吸引細胞診を行い診断のうえで、必要な場合には乳腺・内分泌外科と連携して手術治療を検討します。
 糖尿病はインスリンの作用不足による病態であり、病気が疑われる人(予備群)も含めると本邦で約2000万人が関わる内分泌・代謝疾患です。糖尿病診療においては検査・薬物治療だけでなく、患者さんのセルフマネジメントを支援する療養指導が重要です。医師と看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士や歯科口腔外科医師・ソーシャルワーカーらが連携し、チームとして患者さんに寄り添い糖尿病療養指導を行っています。当院では平成30年6月より糖尿病教室ワーキンググループを立ち上げ、糖尿病教室を定期開催し糖尿病教育入院を受け入れる体制を作りました。(糖尿病教室には昨年度、延べ538人が受講、104名の入院患者さんが参加されました。)糖尿病教育入院パスを利用して、かかりつけ医の先生方と連携して継続的な療養指導を行うことができます。ワーキンググループは平成31年1月からは糖尿病療養指導プロジェクトチームとして活動し、病院内の糖尿病診療を安全にかつ効果的に実行できるように努めています。日本糖尿病療養指導士、群馬県糖尿病療養指導士の資格取得者を増やしてチームとしてのレベルアップを図り、社会的な問題となっている糖尿病合併症予防、慢性腎臓病対策などの課題にチームとして取り組んで参ります。当院の糖尿病患者さんの会「高松糖友会」も、徐々に会員数を増やしながら、定期勉強会開催をはじめ順調に活動を継続中です。
 人体のメッセージ物質・ホルモンの異常と病気は、患者さんの生活の質を低下させます。地域の患者さんの健康回復・維持に貢献できるよう、正確な診断と丁寧な診療・治療を目指して努力して参ります。

 

2. 診療実績

●症例数・検査数・治療

 年間入院患者数:212人(病院統計延べ数2,640人)
  疾患ごとの内訳件数:
   糖尿病 98、甲状腺 22、その他 92
 年間外来患者数:1,231人(病院統計延べ数5,429人)

 

3. 臨床研究のテーマ

積極的に臨床研究への取り組み、また治験への参加を予定しています。

 

4. 研修教育方針

 臨床研修内科系診療科として研修医を受けいれています。臨床研修の理念に沿って、医学および医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、基本的な診療能力を身に着けることを目標に、主に入院患者を担当して診療にあたります。将来どの専門分野に進んだとしても関わることが多い糖尿病診療の基本的な考え方、血糖コントロールの方法を学び、院内の他職種との協力による療養指導を実践する経験は、退院後の地域連携も含めた患者中心の医療を学ぶ貴重な研修になると思います。また、総合内科的な視点をもって多彩な症状を呈する内分泌・代謝疾患患者の診療に携わり、専門的な診断検査と治療法を学び理解することを目標にします。内科専攻医も受け入れています。当院は日本内分泌学会認定教育施設、日本糖尿病学会認定教育関連施設です。

 

5. 今後の展望

 地域の基幹病院として、内分泌・代謝、糖尿病の専門分野においてもその役割を担えるよう、入院と外来診療体制の充実を今後も進めて参ります。特に糖尿病の療養指導、教育、治療導入を行い、その後の地域連携を確立すること、内分泌疾患診断のための正確かつ安全な内分泌検査・負荷試験等の安定的な運用に努めて参ります。療養指導に関わるスタッフの教育・育成にも取り組み、患者中心の医療を実践できる体制を作り、地域住民患者や連携医療機関から信頼される診療科を目指します。

内分泌・代謝内科