2021(令和3)年度 活動の紹介
1. 診療体制
●診療方針
当院小児科は、西毛地区における小児医療中核施設の一つとして、小児科の二次医療を中心とした診療にあたり、対象地域は高崎・安中地区を主に、埼玉県北部を含めた隣接地域に及びます。
休日・夜間には、当院、藤岡総合、富岡総合の3病院による西毛地区の二次輪番体制によって、地区内で24時間365日の二次救急を中心とした診療を実施しています。
医師数は2020年度と同様、常勤医師9名、当直可能な医師は6名です。
外来診療では感染症等の急性疾患の二次診療を行うとともに、呼吸器・アレルギー、内分泌・代謝疾患など常勤医の専門性を生かした外来診療を実施しています。必要な分野については外勤医師に専門外来を担当していただきながら、各種慢性外来を運営し、診療需要に対応しています。小児の慢性疾患の通院管理は二次病院の業務となることが多く、外来運営面の課題となっています。また、小児外科外来を小児科外来ブースで月二回・半日ずつ開設しています。
入院診療では主に急性期の二次医療を中心として、食物アレルギーの診療に対応するための食物負荷試験、薬剤による鎮静下での画像診断検査や、内分泌負荷試験などの検査入院も実施しています。
事故・虐待にかかわる例については、CAPSなどの院内組織を通してMSWや医療安全などの関係職種・部門と連絡をとりながら対応に努めています。
時間外診療については、土曜日の日直当直および金曜日の当直を外部からのパート勤務医師にお願いし、他の時間帯を常勤医で担当してすべての時間帯で小児科医が院内に常駐している体制をとっています。
周産期医療については、NICU、GCU各6床を有し、産科との協力のもとで、新生児医療において院外需要に対応する西毛地区唯一の施設として、在胎32週以降の新生児を対象とした新生児の入院診療を行っています。高度な技術、設備を用いたより集中的な治療を要する児は、群馬県立小児医療センターなどの三次医療機関にお願いしています。
●医療設備
超音波診断装置 外来、病棟用各1台、新生児用人工呼吸器2台、新生児用鼻腔式陽圧呼吸補助装置(Si-PAP)3台、保育器(閉鎖式・開放式)
2. 診療実績
●症例数・検査数・治療
021年度の小児科入院総数は一般・新生児を合わせ1129例で、前年比で約55%増加した。主な疾患は表の通りで、一般病棟ではRSウイルスなどの気道感染症、COVID-19、食物アレルギー(負荷試験を含む)、痙攣性疾患、各種感染症、川崎病、内分泌・代謝疾患などが主な診療対象です。新生児は90例の入院があり、低出生体重児、黄疸、呼吸障害が主な疾患です。呼吸障害の中には、機械的人口呼吸管理を要する例もみられました。
外来では、紹介患者の受け入れと逆紹介の推進に力を入れ、学校保健での二次健診業務とそれに引き続く経過観察や、当院受診の必要な慢性疾患の診療を行っています。受診数は毎年延べ15,000件程度で、学校の長期休暇の時期には、受診者が増加しやや混雑しています。2021年度も外来に関してはほぼ例年並みの体制・受診状況でした。
3. 臨床研究のテーマ
NHO共同研究に参加するとともに、日本小児科学会群馬地方会などにおいて若手医師を中心とした発表機会を設けています。また、上級医はその専門分野において、研究日の群馬大学小児科を含めた院内・院外での研究活動を行い、その成果は各分野の学会などで、発表しました。
4. 研修教育方針
2021年度は専門医機構認定の小児科専門医4人、認定指導医2人を擁し、日本小児科学会専門医研修施設の指定を受けています。若手小児科医には小児科医の基礎を身につけていただくこと、初期研修医には小児医療のイメージを明確にしていただくことと、小児への臨床的アプローチを理解していただくことを目標として、研修の指導を行っています。また、2021年度も新生児蘇生法(NCPR)の研修会を継続実施しました。
5. 今後の展望
県全体では少子化、予防接種の普及などにより、小児の入院医療の需要は今後縮小すると考えられ、小規模施設が散在していると地域全体の診療レベルの維持は難しくなります。働き方改革にも対応しながら、群馬県の小児医療体制を安定・持続的なものにするためには、医師の教育機会の確保、24時間365日の小児救急等の診療機会の確保を担保すると同時に、医師のQOLも確保する必要があり、診療拠点の集約化・重点化が欠かせません。一医療機関の努力のみで達成できることではありませんが、当院としても常勤医の二交代制による24時間体制と周産期医療の継続・発展を軸として小児医療の拠点として貢献ができればと考えています。