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2022(令和4)年度 活動の紹介

1. 診療体制

●診療方針

 内分泌・代謝疾患はホルモンが関わる病気で、身近なところに潜んでいます。高血圧患者の約10%は原発性アルドステロン症など内分泌疾患に起因した二次性高血圧ですし、人間ドックなどで甲状腺腫瘍や下垂体腫瘍、副腎偶発腫がしばしば発見されます。内分泌疾患においては「ありふれた症候」と「特徴的な症候」が混在しています。発熱、腹痛、倦怠感がきっかけで受診される患者さんの中に副腎皮質機能低下症や甲状腺機能異常症を認めたり、肥満や高血糖、心不全の原因がクッシング症候群や先端巨大症、甲状腺機能低下症であったりします。内分泌疾患の正しい診断のためには、1回のホルモン検査だけでなくホルモン刺激あるいは抑制試験、24時間尿中ホルモン測定などが必要となります。当科ではこれらに対応した入院による検査、治療を行っています。甲状腺腫瘍についてはエコー下穿刺吸引細胞診を行い診断のうえで、乳腺内分泌外科と連携して手術治療を検討します。

 糖尿病はインスリンの作用不足による病態であり、病気が疑われる人(予備群)も含めると本邦で約2000万人が関わる内分泌・代謝疾患です。糖尿病診療においては薬物治療だけでなく、患者さんのセルフマネジメントの支援が重要です。医師と看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士や歯科口腔外科医師・ソーシャルワーカーらが連携し、チームとして患者さんに寄り添い糖尿病療養支援を行っています。糖尿病教室を定期開催し2022年度には延べ550人が受講、111名の入院患者さんが参加されました。糖尿病教育入院パスを利用することで、短期間で糖尿病についての知識を学びその後の糖尿病との付き合い方を考える手段を身につけられます。地域連携パスを利用される患者さんも少しずつ増えて参りました。入院を契機にかかりつけ医の先生方と連携して継続的な療養支援を行うことができます。血糖マネジメントと療養に効果があることも検証しています。更に今回、新たに糖尿病腎症透析予防外来を開設ました。糖尿病性腎症の進行が見られる患者さんに対して医師、看護師、栄養士らによる効果的な支援ができる体制を作りました。今後も当院の糖尿病療養支援チームとしても活動し、社会的課題でもある糖尿病合併症予防、慢性腎臓病対策などに取り組んで参ります。糖尿病患者さんの会「高松糖友会」も、徐々に会員数を増やしながら、定期勉強会を開催し順調に活動を継続中です。

 人体のメッセージ物質・ホルモンの異常と病気は、患者さんの生活の質を低下させます。地域の患者さんの健康回復・維持に貢献できるよう、正確な診断と丁寧な診療・治療を目指して努力して参ります。

2. 診療実績

●主な症例・年間患者数
内分泌・代謝内科2022年度主な症例・年間患者数

3. 臨床研究のテーマ

 積極的に臨床研究へ取り組み、また治験への参加を予定しています。

3. 臨床研究のテーマ

臨床研究
・糖尿病コントロール指標や体成分測定を用いた糖尿病教育入院プログラムの評価の試み
治験
・糖尿病性及び非糖尿病性慢性腎臓病に対する治験 第Ⅱ相試験
・慢性腎疾患・心不全患者における高カリウム血症の長期管理に対する疾患負担と治療の負担を評価するための前向きコホート研究

4. 研修教育方針

 臨床研修内科系診療科として研修医を受けいれています。臨床研修の理念に沿って、医学および医療の果たすべき社会的役割を認識し基本的な診療能力を身に着けることを目標に、主に入院患者を担当して診療にあたります。将来どの専門分野に進んだとしても関わることが多い糖尿病診療の考え方や血糖マネジメントの方法を学ぶことができます。また、総合内科的な視点をもって多彩な症状を呈する内分泌・代謝疾患患者の診療に携わり、専門的な診断検査と治療法を学び理解することを目標にします。内科専攻医も受け入れています。当院は日本内分泌学会認定教育施設、日本糖尿病学会認定教育施設、日本甲状腺学会認定専門医施設です。

5. 今後の展望

 地域の基幹病院として、内分泌・代謝、糖尿病の専門分野においてもその役割を担えるよう、入院と外来診療体制の充実を今後も進めて参ります。特に糖尿病の療養指導、教育、治療導入を行い、クリニカルパスを利用して地域連携をすすめます。内分泌疾患診断のための正確かつ安全な内分泌検査・負荷試験等を安定的に運用し治療に繋げます。療養指導に関わるスタッフの教育・育成にも取り組み、患者中心の医療を実践できる体制を作り、地域住民患者や連携医療機関から信頼される診療科を目指します。

内分泌・代謝内科