消化器病センターについて
消化器内科と外科の垣根をなくすことで、一人の患者さんをさまざまな視点やアプローチから診察し治療することを目的に、2012年4月より「消化器病センター」を開設しました。
その結果、より高度で機動的な医療を実践することができ、外来受診時から入院、退院や転院までの受け入れなどの簡素化を図れるようになりました。センター内のカンファレンスも緊密に行われ、例えば、早期大腸がんの手術を目的に外科に紹介された場合でも、内視鏡切除が適切と判断されれば、患者さんに十分説明し内視鏡切除を行っております。また、週に一度、内科医、外科医、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど多職種による総合回診を行っています。緩和医療については、かんわチームが病気の早い時期から介入して患者さんの体や心のケアにあたっております。
消化器病センターで扱う疾患は、消化管疾患と肝・胆・膵臓疾患などさまざまです。
上部消化管では、食道がん、胃がんなどの悪性疾患に対する内視鏡治療、外科治療、化学療法などを行っております。食道がんでは放射線治療センターともカンファレンスをしており放射線化学療法も可能な状態です。その他、吐下血をきたした胃十二指腸潰瘍も代表的な疾患です。 下部消化管では、大腸がん、大腸ポリープ、虫垂炎、大腸憩室症(憩室炎、憩室出血、憩室穿孔)、クローン病や潰瘍性大腸炎等の炎症性疾患や腸閉塞(イレウス)に対する内科•外科治療を行っています。 また、ソケイヘルニア等の手術も行っています。 肝・胆道・膵疾患では、ウイルス性肝炎、肝硬変、肝がん、胆嚢炎、総胆管結石、胆管炎、膵炎、膵がんなどが挙げられます。ウイルス性肝疾患に対してはガイドラインに従い、核酸アナログ治療やインターフェロン治療など最先端の治療をおこなっています。肝がんに対しては血管造影やラジオ波治療など積極的に行っています。内視鏡治療について
良性のポリープに対するポリープ切除術はもちろん、早期の胃•食道•大腸がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術、進行がんにおいては狭窄拡張やステント留置などの緩和目的の内視鏡治療を行います。その他、消化管出血に対する緊急内視鏡や、嚥下•摂食障害に対する胃瘻造設、胆管炎や膵炎に対するドレナージ、胆管結石の排石など幅広い内視鏡検査および治療を行います。内視鏡検査を熟知した内視鏡室スタッフがこれらの仕事を支えています。最近では外科治療と内視鏡治療のコラボレートを行う症例も増えてきています。手術について
当センターの特徴は、多職種の力を集結して患者さんをサポートすることです。当院は総合病院であり、循環器科、歯科口腔外科、神経内科、麻酔科など横のつながりが充実しており、合併症を有する場合でも安全に手術が行えるよう努めております。また、消化器病センターには医師や看護師だけでなく、歯科医師、歯科衛生士、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、皮膚・排泄ケア認定看護師、MSW(医療ソーシャルワーカー)などいろいろな職種の専門家がおります。手術前には入院期間や費用、麻酔や手術したらどのようなものを食べたらいいのか、など、いろいろ不安があると思います。当センターでは、できるだけ手術前に、入院、手術、手術後、さらに退院後までの経過をいろいろなパンフレットや計画書をお渡しして説明しております。患者さんにできるだけ情報をお伝えし、不安を解消できるように多職種が集結していろいろな角度からアプローチしております。 また、近年発展が著しい腹腔鏡を用いた手術も適応を決めて積極的に行っています。当センターでは、2012年12月よりフルハイビジョン腹腔鏡を導入しました。フルハイビジョン化は良好な視野での手術が可能となりました。肉眼では見えなかったものが見えるようになり精度の高い手術が可能となっております。このように、当センターでは、消化器疾患全般にわたり患者さんの状態に応じて、内視鏡的治療、外科手術、抗がん剤治療、放射線治療などいろいろな治療を行っています。最新の診断機器で個々の患者さんの病状を正確に把握し、最新の医療を受けていただけるよう努めております。