内視鏡下手術支援ロボット Da Vinci Xi(ダビンチ)の紹介
高度なロボット、コンピュータ、光学の各技術を応用して、外科医が行う手術を支援するシステムです。患者さんの体に開けた小さな創から、専用の内視鏡カメラとアームを挿入して手術を行います。術者は、3Dモニターを見ながら、自らの手を動かしているような感覚で、コンソールを通してロボットアームを操作します。高拡大三次元高解像度画像技術、専用インストゥルメント(鉗子)、コンピュータソフトウェアを搭載しており、外科医は鮮明な視野で、繊細なインストゥルメントを操作して精緻な手術を行うことができます。当院では2022年に導入し年間約200件実施しています。
3つの特徴
特徴1
体への負担が少ない
数カ所の小さな切開部から手術を行うため、傷が小さく、出血も抑えられ、手術後の回復が早く、患者さんの負担が軽減されます。
特徴2
鮮明な3D(3次元)画像
コンソールモニターには高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像が映し出されます。
特徴3
精密な動きを再現
医師がロボットアームに装着されている鉗子やメスを操作します。ダビンチの鉗子は関節構造を持ち、人間の手より大きな可動域と手ぶれ補正機能を備えています。
患者さんのメリット
患者さんに優しい「ダビンチ」手術
体への負担が少なく、入院期間の短縮が可能
ダビンチ手術の特長としては、手ぶれがなく、精密な操作が可能で、その動きの自由度は人間の手以上のものがあります。腹腔鏡手術と同様に切開部が小さく、傷跡や出血量も最小限に抑えられ、術後の早期回復、入院期間の短縮にも繋がるなど患者さんの体への負担も少ない低侵襲手術が可能となり、開腹手術と比べ、さまざまなメリットがあります。
1.手術創(傷)が小さく傷跡が目立たない
2.出血量が少ない
3.入院期間が短い
4.合併症が少ない
5.回復が早い
対象疾患
前立腺がん
当院では、前立腺がんの手術に「ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)」を取り入れています。この手術は、医師がロボットを操作しながら、精密で丁寧な手術を行う方法です。お腹の小さな傷から手術を行うため、出血が少なく、痛みも抑えられ、回復が早いというメリットがあります。
一方で、手術後に尿もれや性機能の低下などがみられることもあり、すべての方にとって完全に負担がないわけではありません。ご不安な点や疑問があれば、どうぞお気軽に医師にご相談ください。
腎臓がん
当院では、腎臓の腫瘍に対して「ロボット支援腎部分切除術(RAPN)」を行っています。この手術は、腎臓をすべて取らず、がんの部分だけを正確に取り除く方法で、腎臓の働きをできるだけ残すことができます。ロボットのサポートにより、出血が少なく体への負担も軽いため、回復が早いのが特長です。
ただし、手術中に出血や合併症のリスクがゼロではなく、腫瘍の場所や大きさによっては他の治療法をおすすめする場合もあります。詳しくは担当医にご相談ください。
子宮体がん(担当診療科 産婦人科)
早期子宮体がんにおける鏡視下手術は開腹手術と治療効果が劣らないことが報告され、低侵襲手術として近年行われるようになってきています。鏡視下手術の中でも、ロボット支援下手術は、子宮周囲や骨盤リンパ節周囲のような深く狭い部位で操作性がすぐれ、血管周囲で繊細かつ正確に操作が可能です。早期子宮体がんに対するロボット支援下手術は根治性を落とすことなく、早期の回復が期待できる術式です。また、子宮筋腫など良性疾患の手術も行っています。
手術上のリスク
ロボット支援手術を含め、すべての手術には、一般的に組織や臓器の損傷、出血、感染症及び体内の傷跡などリスクを伴います。
また、低侵襲手術特有のリスクとして以下のものが挙げられます。
①手術時の体位に関連する一時的な痛みや神経損傷。
②手術時に注入する空気やガスによる一時的な痛みや不快感。
③ロボット支援手術固有のリスクとして機械の不具合による開腹手術への移行があります。
皆様の疾患がロボット支援手術可能かどうかなどご不明な点は各診療科の医師へお尋ねください。