アクセス

トップページ > 小児科 > 2020(令和2)年度 活動の紹介

2020(令和2)年度 活動の紹介

1.診療体制

●診療方針

 当院小児科は、西毛地区における中核施設の一つとして、小児科の二次診療を中心としている。対象地域は高崎・安中地区を主に、埼玉県北部を含めた隣接各地域に及び、休日・夜間には、当院、藤岡総合、富岡総合の 3 病院による西毛地区の二次輪番体制により、地区内で 24 時間 365 日の二次救急を中心とした診療を実施している。
 小児科の急性期医療では、各種感染症の流行により診療需要の波動が大きいが、2020 年度は SARSCoV-2 ウイルスの流行の影響が大きく、社会的距離の確保によってか通常の感染症はほとんど見られなくなり、入院数が 4 割減となる状況となった。入院診療に関しては常勤医の確保が出来たことから小児入院管理加算2を届け出て運営している。
 常勤医師 9 名、当直可能な医師は 6 名で、専門領域は、五十嵐・藤生が新生児、倉田は内分泌・代謝、佐藤・内田が 呼吸器・アレルギー、小笠原が腎臓、斎藤は消化器、須田永井は、専門医を目指し一般小児科の臨床経験を積みながらの勤務となった。また、外部よりの非常勤として神尾 彩乃 医師(神経)、西澤 医師(消化器)にそれぞれ専門外来を担当していただいた。
 小児の慢性疾患は、希少疾患が多いこともあって、通院での管理を二次病院の業務とせざるを得ない面があり、外来運営面の課題となっている。また、小児外科外来を小児科外来ブースで月二回・半日ずつ開設していて、小児外科疾患の初診、定期的処置に対応していただいている。外科的症例のコンサルトも実績も多く、意味のある外来と考えている。
 周産期医療は NICU6 床、GCU6 床の社保届け出でを行い、産科との協力のもと 32 週以降必要な新生児の入院診療を行った。高度な技術、設備を用いた集中治療を要する児は、現状では原則として群馬県立小児医療センターなどの三次医療機関にお願いしているが、外部よりの搬送入院需要にはほぼ全例で応需することができた。
 時間外診療については、当院には月間 20 日前後の二次輪番の担当があり、常勤医師に加え、外部からのパート勤務医師にお願いして、主に土曜日の日直当直および一部金曜日の当直を担当していただき、当院の責をはたす状況となっている。

●医療設備

 超音波診断装置 外来、病棟用各 1 台、新生児用人工呼吸器 2 台、新生児用鼻腔式陽圧呼吸補助装置(Si-PAP)3台、保育器(閉鎖式・開放式 )

 

2. 診療実績

●症例数・検査数・治療

 2020 年度の小児科入院総数は一般・新生児を合わせ 724 例で、前年比で約 35%減少した。前述のSARS-Cov-2 ウイルスの流行による、社会的距離の確保の影響か、通常主要な診療対象となる、急性呼吸器感染症は激減し、RS ウイルス感染症やインフルエンザウイルス感染症は外来・入院を通じて消滅に近い状況であった。一般病棟では、各種感染症、川崎病、尿路感染症などが目立ち、アナフィラキシー、食物アレルギーなどのアレルギー疾患の割合も多い。また、食物アレルギーの診療に安全に対応するため、入院での食物負荷試験も実施している。事故・虐待にかかわる例は依然としてみられており、CAPS などの院内組織を通して MSW や医療安全などの関係職種・部門と緊密なかかわりをもちながら対応に努めているが、将来ある子どもを守ってゆく活動への責任を感じている。
 新生児病棟は在胎週数 32 週以上の児を対象に入院診療を行い、病床は 2020 年度より社保届け出の、NICU6 床、GCU6 床であるが、西毛地区に院外需要に対応する唯一の新生児医療二次病院としての診療を行っている。低出生体重児、呼吸障害のある児新生児感染症などが主な診療対象となっている。機械的人口呼吸管理を要する例もみられている。
 外来では、地域支援病院として、紹介患者の受け入れと、逆紹介の推進に力を入れて、不必要には肥大化しないように努めている。一方で、学校保健分野等での二次健診業務とそれに引き続く経過観察や、慢性疾患の診療などが、主に二次病院の業務となっており、一定数の外来診療は行わざるを得ず、学校の長期休暇の時期には、患者が増える傾向がある。年度前半は SARS-CoV-2 流行による落ち込みが目立ったが、夏休み以降はほぼ例年並みの体制・受診状況であった。

 

3. 臨床研究のテーマ

 NHO 共同研究に参加するとともに、日本小児科学会群馬地方会や、群馬県小児保健会などにおいて症例報告が主ではあるが、若手医師を中心とした発表機会を設けている。また、上級医はその専門分野において、研究日に群馬大学小児科をふくめた院内・院外での研究活動を行い、その成果を学会などで、発表してきている。ここでも SARS-CoV-2 の影響による学会・研究会の中止・延期が相次ぎ、発表機会は減少した。

 

4. 研修教育方針

 2021 年度は日本小児科学会認定の小児科専門医 5 人を擁している。2011 年度により日本小児科学会専門医研修施設の指定を受け、専門医を目指す若手小児科医の育成も重要な責務となっている。当院は入院症例が比較的充実しており、小児科専門医を目指す若手医師に小児科医としての基礎を症例を通じて身につけていただくこと、初期研修医には小児医療の具体的イメージを明確にしていただくことと、小児への臨床的アプローチの特徴を理解していただくことを目標として、研修の指導を行っている。研修内容の実際は、流行疾患により左右され、残念な一年ではあったが、上級医とともに臨床に取り組んでゆくなかで、一定の成果が上がる充実した研修が積んでいただけるよう配慮してゆきたい。
 2019 年度も新生児蘇生法(NCPR)一般コースの研修会を実施することができた。職員のスキルの向上に少しでも貢献できればと願っている。

 

5. 今後の展望

県内の小児科診療に関わる医師は全体では増加しているが、二次病院で当直勤務への対応が可能な医師の数は漸減傾向である。群馬県の出生数は減少の一途で、予防接種の普及や、抗ウイルス薬などの治療の変化とともに、小児の入院医療の需要も縮小すると考えられ、小規模施設が散在していると、地域全体の診療レベルを質・量ともに低下する懸念がある。また、一方では 2024 年度実施予定の働き方改革に適応すべき時期に来ており、群馬県の小児医療を安定して持続的に提供できる体制を確保するためには、この地域を足場とする意欲ある医師を育て増やしてゆくことが喫緊の課題であり、教育機会を確保するためにも、また、24 時間 365 日の対応を要請されている小児救急等の診療機会を確保するためにも、診療拠点の集約化・重点化の必要性・意義は大きい。これに加え、医師の活動をサポートするためのインフラ(例えば24時間保育および病児保育)等を考慮しながら、診療・教育・研究のバランスのとれた体制を維持してゆくことで、地域の医師が燃え尽きることなく働き続けることのできる環境を確保することが必要だと考える。これは一医療機関の努力のみで達成できることではないが、当院では、群馬大学小児科の理解も得て 2020 年度より常勤医の二交代制と、小児病棟(北 4 階)の小児入院管理加算2の届け出と、社保加算の得られる NICU 6 床、GCU6 床の届け出が可能な体制をとることができた。これを基盤に、群馬県、とりわけ西毛地区における小児医療の拠点としての貢献ができればと考えている。

小児科