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2020(令和2)年度 活動の紹介

1. 診療体制

診療方針

 当院の呼吸器外科は2004年から本格的に診療体制が整い、現在は高崎・西毛地区の呼吸器外科疾患に対する専門的治療を行う施設として、日々診療を行っています。

 当科の手術の特徴として、基本的に胸腔鏡を用いた低侵襲な手術を行っています。早期の肺癌であれば、最大3cmの創部といくつかの小さな創部での手術が可能となります。従来の肋間を大きく開ける手術と比較し、出血量の軽減や術後早期の肺機能温存、疼痛軽減が可能となり、早期退院、社会復帰が可能となります。現在術後の退院までに要する日数は、肺癌では4日前後、縦隔腫瘍や自然気胸では2日前後となっています。肺機能の温存という意味での縮小手術として、従来の肺葉切除より小さな切除範囲となる区域切除にも積極的に取り組んでいます。患者さんへの負担軽減を第一に心がけています。

 一方で、進行肺癌に対する拡大手術も行っています。気管支形成、血管形成、胸壁切除再建などの技術を用いて、肺癌の根治を目指しています。呼吸器内科、放射線科と連携して行う術前導入化学放射線治療後手術もその一つです。他臓器浸潤肺癌に関しても、総合病院の利点を最大限に活かし、心臓血管外科・外科・乳腺内分泌外科・整形外科等と協力して安全に多臓器合併切除症例などにも取り組んでいます。負担軽減を目指すことのみならず、安全に確実な根治を目指すことが最も重要だと考えています。

 

●医療設備

 ハイビジョン胸腔鏡システムを用いて、ICG(インドシアニングリーン)蛍光ナビゲーションによる肺区域切除を導入しています。また、3D−CT画像システムを用いて、術前に詳細な手術シミュレーションを行い質の高い手術を行うことが出来る体制を整えています。

 

スタッフ

 呼吸器外科専門医の常勤医師2名と、群馬大学からの非常勤呼吸器外科医師1名の体制で、診療を行っています。

 

2. 診療実績

●症例数・検査数・治療

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 2004年の呼吸器外科開設以来、手術症例数は年々増加しています。近年は年間200例を超える全身麻酔下手術を行っています。

 

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 手術症例の約半数を原発性肺癌が占めています。それ以外に、転移性肺腫瘍、良性肺腫瘍、縦隔腫瘍、悪性胸膜中皮腫、気胸、膿胸、胸部外傷と、幅広い胸部疾患の治療を行っています。2020年度の手術症例の約9割が胸腔鏡下アプローチでした。

 

3. 臨床研究のテーマ

・ NEJ034試験:特発性肺線維症(IPF)合併非小細胞肺癌に対する周術期ピルフェニドン療法の術後急性増悪抑制効果に関する第III相試験(North East Japan Study Group研究)

・ 間質性肺疾患に合併した気胸症例における治療方針と治療成績の前向きリアルワールドデータ調査(平成31年度NHOネットワーク共同研究)

・ 胸腺上皮性腫瘍の前方視的データベース研究(肺癌登録合同委員会 第8次事業)

・ 2021年に外科治療を施行された肺癌症例のデータベース研究(肺癌登録合同委員会 第11次事業)

 

4. 研修教育方針

 当院は呼吸器外科専門医合同委員会の専門研修連携施設とし認定されております。そのカリキュラムをもとに、研修医に対しては一般的な外科的手技の習得をはじめとして、胸部疾患に対する基本的な処置(胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入など)の習得を目指すことを方針としております。また呼吸器外科専修医に対しては呼吸器外科全般の手術手技の習得をはじめ、手術方針の決定、術前・術後管理などを呼吸器外科の基本的な知識とともに習得することを目的とします。カリキュラム終了時の呼吸器外科専門医の取得を目標とします。

5. 今後の展望

 一つの小さな創部のみから行う単孔式肺葉切除、剣状突起下アプローチによる縦隔腫瘍切除など、より低侵襲を目指した術式を導入していく予定です。また、国立病院機構や群馬大学、呼吸器外科学会との共同研究にも力を入れ、臨床のみならず研究分野においても充実を図ります。

 今後も高崎・西毛地区の中核病院として、最新の知見にもとづいた専門的治療を提供できるよう努めてまいります。