独立行政法人 国立病院機構 高崎総合医療センター

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2018(平成30)年度 活動の紹介

1. 診療体制

 

診療方針

 呼吸器科では肺癌をはじめとする腫瘍性疾患(悪性中皮腫、縦隔腫瘍を含む)、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、多種多様な呼吸器感染症(肺炎、気管支炎、細気管支炎、胸膜炎、肺結核など)、特発性肺線維症をはじめとする間質性肺疾患(特発性間質性肺炎、膠原病肺、薬剤性間質性肺炎など)、気胸、各種胸膜炎、肺血栓塞栓症などを主な対象疾患としている。

 肺癌は現在本邦において悪性腫瘍の死因第1位であり、肺癌の予防と治療は21世紀のわが国の医療が抱える重要なテーマの1つである。肺癌患者の治療は十分なインフォームド・コンセントを得た上で、手術療法、化学療法、放射線療法のうち、その患者に適切な治療法を選択し施行している。呼吸器内科としては化学療法単独、放射線療法単独、ならびに化学療法・放射線療法併用療法を行っている。近年では、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬の臨床応用により、治療法が大きく変化し、肺癌の治療成績は飛躍的に向上してきている。呼吸器系癌キャンサーボード(呼吸器内科・呼吸器外科・放射線治療科・画像診断科の合同カンファランス)を毎週1回開催し、最新の肺癌診療ガイドラインを参考にして適切な効果的な治療を目指している。また、緩和医療にも力を注いでいる。

 高齢化が一層進む中、慢性閉塞性肺疾患の慢性呼吸不全患者は増加している。慢性呼吸不全患者の急性増悪症例も多く、救命センターを中心に呼吸器系救急医療を精力的に行っている。

 肺炎を代表とする呼吸器感染症は日常診療で遭遇することの多い呼吸器疾患である。特に高齢者での死亡率は高い。レジオネラ肺炎やニューモシスチス肺炎の治療実績が多く、重症例を含め適切な診断と治療を行っている。

 間質性肺疾患としては、特発性間質性肺炎をはじめ、関節リウマチに関連する間質性肺炎や薬剤性肺炎も数多く診療している。特に各種間質性肺炎の重症呼吸不全患者は他院からの転院要請も多く,要請には積極的に応じている。

 

 

2. 診療実績

 呼吸器科入院患者数は、一日平均で、平成28年度は39.2人,平成29年度は40.8人、平成30年度は40.0人であった.平均在院日数は、平成28年度は16.2日,平成29年度は15.8日、平成30年度は15.6日であった.入院患者の主な疾患は、肺癌(52%)、肺炎(25%)、間質性肺疾患(8%),慢性閉塞性肺疾患・気管支喘息(4%)、呼吸不全(15%)などである。肺癌入院患者延べ492件中、全身化学療法は283件に施行され、分子標的治療薬は16件、免疫チェックポイント阻害薬は30件に導入され大幅な伸びを示している。放射線治療科の協力により肺癌放射線治療も積極的に行われている。 

 呼吸器科外来の新患数では、平成28年度は年間907人, 平成29年度は年間885人、平成30年度は年間927人であった。呼吸器科外来紹介患者数は、平成28年度は年間634人、平成29年度は年間585人、平成30年度は年間756人と大幅に増加している。外来化学療法における分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬投与患者は年々増加し、特に分子標的治療薬投与患者は48人に達している。

 気管支鏡検査は、平成26年度は167件、平成27年度は175件、平成28年度は140件、平成29年度は110件平成30年度は96件に行っている。平成23年1月より日本呼吸器内視鏡学会認定施設に認定され、平成24年度には超音波気管支鏡が導入され、超音波気管支鏡検査対象患者数が増加している。

 クリニカルパスについては、気管支鏡検査パス、超音波気管支鏡検査パス、CTガイド下生険パスが導入されている。

 

 

3.臨床研究テーマ

1)肺癌化学療法

・間質性肺炎合併肺癌におけるカルボプラチン+アブラキサン療法の有用性の検討

・ペメトレキセートによる長期維持療法の検討

・EGFR-TKI治療中に病勢進行をきたした非小細胞肺癌患者における遺伝子変異検査及び治療方針決定に関する実態調査への参加

・EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌患者再発時のT790M耐性遺伝子陽性例の臨床的検討

・EGFR T790M変異陽性非小細胞肺癌におけるオシメルチニブの効果予測因子に関する前向き観察研究

2)薬剤性肺障害の臨床的検討

・各種薬剤性肺炎のCT画像による病型分類

・抗癌剤による薬剤性肺障害

・分子標的治療薬による薬剤性肺障害

・抗不整脈薬による薬剤性肺障害の検討

3)関節リウマチ関連

・関節リウマチ患者治療中に起こる呼吸器合併症の臨床的検討

・関節リウマチに合併する呼吸器病変の検討

・抗リウマチ薬使用中に発症するニューモシスチス肺炎の臨床的検討

・メソトレキセートなど抗リウマチ薬による薬剤性間質性肺炎の検討

4)各種間質性肺炎のHRCT所見の検討

・上葉優位型肺線維症の臨床的検討

・DADの臨床病理学的検討

・放射線肺臓炎の臨床的検討

・びまん性肺胞出血の臨床的検討

5)肺癌関連

・トルソー症候群を中心とする肺癌合併凝固異常症の臨床的検討

6)乳癌術後胸部接線照射による照射野外に発生する器質化肺炎の臨床的検討

7)呼吸器感染症関連

・レジオネラ肺炎の臨床的検討、肺炎球菌性肺炎との比較検討

・ニューモシスチス肺炎の臨床的検討

・ステロイド・免疫抑制薬治療中におこるニューモシスチス肺炎の予防に関する研究

・ステロイド・免疫抑制薬治療中におこる呼吸器感染症の臨床的検討

-PCP,クリプトコッカス症,細菌性肺炎,結核など-

・肺癌治療経過中に発症した呼吸器感染症の検討

8)脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血に続発する肺水腫の病態解明

 -たこつぼ型心筋症の関与の解明-

 

4. 研修教育方針

平成29年度診療方針と研修教育方針

 外来は一日平均40人、入院は一日平均40人、平均在院日数は14日を計画している。

 スタッフは平成30年度は茂木充部長、竹村仁男医師、佐藤麻里医師、鈴木雅文医師、大島一真医師, 倉島優理亜医師の計6人体制。

 外来は月曜日は茂木・佐藤,火曜日は竹村・大島/茂木,水曜日は竹村・大島,木曜日は茂木・鈴木,金曜日は佐藤・鈴木が担当する。新患数は紹介患者を含め年々増加してきており、今後益々増加することが予想される。病診連携を深め逆紹介の増加にもつとめたい。

 毎週火曜日に北5階病棟で呼吸器カンファレンスを行い、毎週木曜日には呼吸器系癌キャンサーボードを開催している。また,群馬大学医学部附属病院と公立藤岡総合病院との呼吸器疾患合同カンファランスを3ヶ月に1回行っている。

 研修医教育には一段と力を注ぎ、当院を魅力のある病院にするべく努力していきたいと考えている。学会発表を積極的に行い、研修医にも発表の機会を提供している。医学部学生実習も積極的に受け入れている。

 

5. 今後の展望

 群馬大学付属病院をはじめとする他の専門病院との連携を深め、県内の呼吸器科医の育成に努め、呼吸器疾患診療のさらなる充実を目指す。

 

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