独立行政法人 国立病院機構 高崎総合医療センター

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平成29年度 当診療科の活動

1. 診療体制

 

診療方針

 呼吸器科では肺癌をはじめとする腫瘍性疾患、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、多種多様な呼吸器感染症(肺炎、気管支炎、細気管支炎、胸膜炎、肺結核など)、特発性肺線維症をはじめとする間質性肺疾患(特発性間質性肺炎、膠原病肺、薬剤性間質性肺炎など)、気胸、各種胸膜炎、肺血栓塞栓症などを主な対象疾患としている。

 肺癌は現在本邦において悪性腫瘍の死因第1位であり、肺癌の予防と治療は21世紀のわが国の医療が抱える重要なテーマの1つである。肺癌患者の治療は十分なインフォームド・コンセントを得た上で、手術療法、化学療法、放射線療法のうち、その患者に適切な治療法を選択し施行している。呼吸器内科としては化学療法単独、放射線療法単独、ならびに化学療法・放射線療法併用療法を行っている。また、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬も積極的に治療に導入している。また、これらの治療法の対象にならない患者に対しては対象療法、best supportive careを行っている。がん診療連携拠点病院として地域の肺癌診療の均点化をめざし,平成21年よりキャンサーボードが組織され、平成22年より呼吸器系癌のキャンサーボード活動が開始され、毎週1回木曜日に呼吸器系癌キャンサーボード(呼吸器内科・呼吸器外科・放射線治療科・画像診断科の合同カンファランス)を開催している。緩和医療にも力を注いでいる。

 高齢化が一層進む中、慢性閉塞性肺疾患の罹患率は増加し、慢性呼吸不全の患者数も増加している。肺気腫症、肺線維症、肺癌、慢性肺血栓塞栓症などの患者に在宅酸素療法が導入されている。慢性呼吸不全患者の急性増悪時の救急医療も救命センターを中心に行っている。

 肺炎を代表とする呼吸器感染症は日常診療で遭遇することの多い呼吸器疾患である。特に高齢者での死亡率は高い。最近では、レジオネラ肺炎やニューモシスチス肺炎の経験も増加し、重症例を含め適切な診断と治療を行っている。

 間質性肺疾患としては、特発性間質性肺炎をはじめ、関節リウマチに関連する間質性肺炎や薬剤性肺炎も数多く診療している。特に各種間質性肺炎の重症呼吸不全患者は他院からの転院要請も多く,要請には積極的に応じている。

 

● スタッフ

 呼吸器科は平成12年に開設され、平成13年6月より茂木充医長が赴任し呼吸器科診療の充実と発展に努めている。平成29年度は茂木充部長、清水雄至部長、上野学医長、佐藤麻里医師、鈴木雅文医師、大島一真医師、倉島優理亜医師で診療にあたった。平成30年度からは清水雄至部長、上野学医長が退職となり、群馬大学医学部附属病院より山口公一医師が加わり6人体制となる予定である。

 

 

2. 診療実績

 呼吸器科入院患者数は、一日平均で、平成27年度は32.5人、平成28年度は39.2人,平成29年度は40.8人であった.平均在院日数は、平成27年度は14.4日, 平成28年度は16.2日,平成29年度は15.8日であった.入院患者の主な疾患は、肺癌(44.3%)、肺炎(28.4%)、間質性肺疾患(11.3%),慢性閉塞性肺疾患・気管支喘息(4.2%)、呼吸不全(20%)などである。肺癌入院患者においては主に導入化学療法を施行している。平成18年より外来化学療法も開始された。新規抗癌剤、分子標的治療薬の導入により化学療法はさらに増加傾向にある。入院化学療法は延べ186人に施行され、分子標的治療薬は24例に施行された。また、免疫チェックポイント阻害薬は5例に新規導入が行われた。放射線治療科の協力により肺癌放射線治療も積極的に行われている。

 呼吸器科外来の新患数では、平成27年度は年間861人、平成28年度は年間907人, 平成29年度は年間885人であった。呼吸器科外来紹介患者数は、平成27年度は年間544人、平成28年度は年間596人、平成29年度は年間541人であった。外来化学療法は維持療法が普及し増加傾向にあり、分子標的治療薬内服治療ならびに免疫チェックポイント阻害薬治療が増加してきている。

 気管支鏡検査は、平成26年度は167件、平成27年度は175件、平成28年度は140件、平成29年度は110件に行っている。平成23年1月より日本呼吸器内視鏡学会認定施設に認定され、平成24年度には超音波気管支鏡が導入され、検査対象症例数が増加している。

 クリニカルパスについては、超音波気管支鏡パス、イレッサ導入パス、COPD地域連携パスが平成26年度より導入された。

 

 

3.臨床研究テーマ

1)肺癌化学療法

・間質性肺炎合併肺癌におけるカルボプラチン+アブラキサン療法の有用性の検討

・ペメトレキセートによる長期維持療法の検討

・EGFR-TKI治療中に病勢進行をきたした非小細胞肺癌患者における遺伝子変異検査及び治療方針決定に関する実態調査への参加

・EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌患者再発時のT790M耐性遺伝子陽性例に対するオシメルチニブの有用性の検討

2)肺癌化学放射線療法

・パクリタキセル・カルボプラチン+胸部放射線同時併用療法の有用性の検討

3)薬剤性肺障害の臨床的検討

・各種薬剤性肺炎のCT画像による病型分類

・抗癌剤による薬剤性肺障害

・分子標的治療薬による薬剤性肺障害

・抗不整脈薬による薬剤性肺障害の検討

4)関節リウマチ関連

・関節リウマチ患者治療中に起こる呼吸器合併症の臨床的検討

・関節リウマチに合併する呼吸器病変の検討

・抗リウマチ薬使用中に発症するニューモシスチス肺炎の臨床的検討

・メソトレキセートなど抗リウマチ薬による薬剤性間質性肺炎の検討

5)各種間質性肺炎のHRCT所見の検討

・上葉優位型肺線維症の臨床的検討

・DADの臨床病理学的検討

・放射線肺臓炎の臨床的検討

・びまん性肺胞出血の臨床的検討

6)肺癌関連

・トルソー症候群を中心とする肺癌合併凝固異常症の臨床的検討

7)乳癌術後胸部接線照射による照射野外に発生する器質化肺炎の臨床的検討

8)呼吸器感染症関連

・レジオネラ肺炎の臨床的検討、肺炎球菌性肺炎との比較検討

・ニューモシスチス肺炎の臨床的検討

・ステロイド・免疫抑制薬治療中におこるニューモシスチス肺炎の予防に関する研究

・ステロイド・免疫抑制薬治療中におこる呼吸器感染症の臨床的検討

-PCP,クリプトコッカス症,細菌性肺炎,結核など-

・肺癌治療経過中に発症した呼吸器感染症の検討

9)脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血に続発する肺水腫の病態解明

 -たこつぼ型心筋症の関与の解明-

 

4. 研修教育方針

平成29年度診療方針と研修教育方針

 外来は一日平均45人、入院は一日平均30人、平均在院日数は14日を計画している。

 スタッフは平成29年度は茂木充部長、山口公一医師、佐藤麻里医師、鈴木雅文医師、大島一真医師, 倉島優理亜医師の計6人体制。

 外来は月曜日は茂木・佐藤,火曜日は山口・大島/茂木,水曜日は山口・大島,木曜日は茂木・鈴木,金曜日は佐藤・鈴木が担当する。新患数は紹介患者を含め年々増加してきており、今後益々増加することが予想される。病診連携を深め逆紹介の増加にもつとめたい。

 毎週火曜日に北5階病棟で呼吸器カンファレンスを行い、毎週水曜日に北5階呼吸器病棟回診を行っている。毎週木曜日には呼吸器系癌キャンサーボードを開催している。また,群馬大学医学部附属病院と公立藤岡総合病院との呼吸器疾患合同カンファランスを2ヶ月に1回行っている。

 研修医教育には一段と力を注ぎ、当院を魅力のある病院にするべく努力していきたいと考えている。学会発表を積極的に行い、研修医にも発表の機会を提供している。医学部学生実習も積極的に受け入れている。

 

5. 今後の展望

 群馬大学付属病院をはじめとする他の専門病院との連携を深め、県内の呼吸器科医の育成に努め、呼吸器疾患診療のさらなる充実を目指す。

 

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